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お釈迦さまの教えられたことを正しく知っていただきたいと思います。


      今日の金言

当流の真実の宝というは
  南無阿弥陀仏、
    これ一念の信心なり
         (御一代記聞書)

この世の宝は、いつか壊れる。
喜びも色あせ薄れ、消えていく。

大宇宙最高の宝・南無阿弥陀仏と一体になれば、
焼けもせず、流されも、盗まれもしない、
無上の幸せがいつも満ちていると、
絶賛されています。


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釈迦の成道と最初の仏弟子② [お釈迦さま物語]

釈迦の成道と最初の仏弟子②

出家した悉達多太子(後のお釈迦さま)のおそばで、
ともに修行していた臣下の憍陳如(きょうちんにょ)たち。
ある日、苦行を捨てた太子を堕落したと思いこみ、
彼らは悉達多から離脱する。
数日後、その太子が彼らの前に現れた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おい、あれは太子ではないか?
こちらに向かってくるぞ。
あの堕落した悉達多が・・・」
声に導かれ、指さす方角を眺めると、
ゆっくり人影が大きくなってくるのが見える。
紛れもない。
それは彼らが仕えていた悉達多太子であった。

どうしてここに現れたのか。
憍陳如の不安は膨らんだ。
太子と離れたのは、果たして本当に正しかったのか。
抑えていた思いが再びわき起こる。
“苦行を捨てる深い訳があったのでは・・・”
太子の出城の経緯をよく知る故に彼は迷い、
6年前を思い出していた。

当時、何も告げずに城を出た太子を捜し求めること幾百里。
ついに出会った時、悉達多は一樹の下で端座瞑想していられた。
沈思する太子に、言葉を尽くして翻意を(ほんい)を請うたのは、
他ならぬ憍陳如自身である。
ありったけの情に訴えた説得に太子は、だが静かにこう言われた。
お前たちには分からないのか。
あの激しい無常の嵐が。まだ分からないのか。
ものは皆、常住しないのだ。
いずれの日にか衰え、いずれの日にか滅ぶのだ。
快楽のかげにも無常の響きがこもっているのだ。
美女の奏する絃歌(げんか)は欲をもって人を惑わす。
三界は悩みのみ、猛き火のごとく、幻や水泡のごとし。
若きを愛すれど、やがて老いと病と死のために壊れ去るのだ

(※三界・・・迷いの世界)
耳に残る熱き信念が今も太子にあるのだろうか。
やはり何か理由があって沐浴し、
女から乳粥の布施を受けたのであったか。
だがその本意が分からず、憍陳如の心は大きく揺れている。

「一体、何をしに来たのだ?」
一人つぶやいた仲間の声に、
心と裏腹の強い言葉が彼の口を突いた。
「ともかく悉達多は堕落した。
あんな者を相手にしてはならんぞ」
車座になるよう皆を促し、太子に関わらぬよう示し合わせる。
なおも近づいてくる太子の気配を感じながら、
彼は視線を向けぬように努める。
他の4人も同様に、涼しい顔を装った。

だが威厳のある、それでいて包み込むような
優しい空気が頬をなでた。
分かれる前とは明らかに異なる。

憍陳如は太子の変化を確かめたくて仕方がなくなり、
さっき仲間と交わした約束も、
もう守っておれない気持ちになった。
そして堪え切れず悉達多太子の姿を見た時、
彼は確信した。

堕落どころではない。
まさしく指の先までが大覚成就の尊容。
一切覚者、仏陀となられたのだ。

「せ・・・世尊!!」
思わず声を出して駆け寄る。
ある者はひれ伏し、ある者は衣鉢を取り、
ある者は座を設け、ある者は洗足水をもって仏足を礼拝した。
仏陀の威徳に、皆、ぬかずいたのである。

我は一切の智者となれり。一切の勝者となれり。
我ついに永遠の目的を成就せり。
我はそなたたちに無上の法を授けに来た。
ここに真理を説こう。よく聞くがよい


これが地球上における、仏陀の初めての説法、
初転法輪(しょてんぽうりん)である。

人々の荒れ果てた心の大地に、
初めて法輪が転ぜられたのであった。

釈迦45年間のご布教が、ここに開始され、
憍陳如たち5人は最初の仏弟子となったのである。


タグ:釈迦
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釈迦の成道と最初の仏弟子 [お釈迦さま物語]

静かな午後。憍陳如(きょうちんにょ)は大樹の下に座を設け、
心を静めようと目を閉じた。
他の4人は早々に瞑想に入ったらしい。
彼らのかすかな息遣いを感じながら、
落ち着こうと呼吸を整えるが、
どうにも憍陳如は集中できない。

原因は分かっている。
悉達多太子(しったるたたいし)と決別したからだ。
“太子よ、なぜあれだけの苦行に励んでいたのに、
突然、修行を断つようなことを・・・”
頭の中を、さまざまな思いが巡っていた。
数週間前までは彼らは、悉達多太子(後の仏陀、お釈迦さま)
と行動をともにしていた。
憍陳如は、太子の身の回りの世話をせよ、
と太子の父・浄飯王によって遣わされた5人の臣下の一人だ。
故郷のカピラ城を捨て、真理を求めて修行を始められた太子を、
父王が心配してのことである。

だが彼らの来訪を、太子は拒絶した。
「身の回りの世話などされては、修行にならぬ」
というのだ。そこで彼らは思案の末、
「私たちもともに出家し、修行いたします。
どうかお許しください」
と申し出、ようやくお側での起居を許可された。
そうして生活をともにするうち、やがて5人は、
太子の求道心の気高さに心引かれ始めた。
特に憍陳如は、さとりを求める太子の姿に感動し、
自らも心から真理を求めるようになっていった。

修行開始から6年がたとうとしていたある日、
肉体を痛めつける激しい修行によって憔悴していた太子が、
無言で座を立ちヨロヨロと歩き始めた。
“一体どうしたのだ?”。
衰弱した太子の身を案じ、憍陳如は後を追う。
向かったのは、近くを流れるニレゼン河であった。
すると太子は何を思ったのか、河に身を沈め、
水浴びを始めたではないか。
それだけではない。
あろうことか、通りかかった女から乳粥の布施を受けたのだ。

憍陳如はわが目を疑う。
沐浴も女人との会話も修行者にあるまじき行為。
「悉達多太子は弱い心に負け、苦行を棄てたる
彼は堕落したんだ」
彼の口から太子を非難する言葉が噴き出した。
裏切られた思いで、すぐにその場から離れ、
太子の元を立ち去る準備を始めた。
これからどうしようなどとは思わなかった。
とにかく堕落した者を遠ざけ、自分だけでも修行を続けよう。
真理を求めるんだ、と4人の仲間を引き連れ、
この波羅奈国鹿野苑(ばらなこくろくやおん)へやって来たのである。

数日後、自ら決別したとはいえ、
さまざまな迷いが胸に去来する。
“本当にこれでよかったか。何か深い訳でもあったのか・・・
オレの行動は拙速(せっそく)だったのかもしれない・・・”
そんな思いが浮かんでは消え、
どうにも修行に身が入らないのだった。

「ええい」
と目を開けたその時、仲間の一人が叫んだ。
「おい、あれは太子ではないか?
こちらに向かってくるぞ。
あの堕落した悉達多が・・・」
声に導かれ、指さす方角を眺めると、遠く、ゆっくりと、
人影が大きくなってくるのが見えた。
紛れもない。
それは、彼らが仕えていた釈迦族の太子・悉達多であった。
「一体、何をしに来たのだろう・・・?」
だれともなくつぶやく声に、憍陳如は不安を募らせた。


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